この作品発売の前年1979年のアグネス・チャンは、初の広東語アルバム「雨中康乃馨」のリリース、日本ではゴダイゴとの競作「AGNES IN WONDERLAND」に始まり「ABC AGNES」、「美しき日々」などの発売など精力的な活動を行なった。いっぽう本作は、山口百恵引退、ピンクレディー解散、YMOブーム、松田聖子や田原俊彦のデビューなどなど、70年代に盛隆を極めたニューミュージック・シーンの片隅には新たなアイドルブームが兆しが見え始めますます活気づく1980年の日本の音楽シーンの中でひっそりと発表された作品。
メッセージ・ソング「Children of the Sea(ぼくの海)」は、紛争・圧政などで祖国を脱出するしかなかった人々“ボートピープル(Boat People)”を題材にした歌詞内容で社会問題や政治問題にシビアに向き合った楽曲。伝説の名妓を曲名にした「小鳳仙」は詩の内容を変えて日本語、広東語などでも取り上げた祖国への想いが溢れる原点回帰的楽曲、実姉が結婚した時の絶妙な心の機微を歌った「花嫁」、以上3楽曲はアグネスのキャリアにとっても重要な意味を持つ自作楽曲。他にも、森田公一、岡田冨美子、はしだのりひこ、康珍化などによる質の高いポップソングが並ぶ内容。
今回はボーナストラックとしてシングル楽曲「ぼくの海」(「 Children of the Sea 」の日本語バージョン)とそのInstrumental version2種を追加収録。